シーリング(コーキング)とは、【シリコン】【変成シリコン】【ウレタン】【アクリル】【ポリサルファイド】と呼ばれている材料を、建物の構造物の防水性や気密性を高めるために目地や窓廻りなどの隙間に充填(じゅうてん)する材料名の総称の事を言います。
他にも、外壁や屋根のクラック(ひび割れ)の補修や建物の部材の端末処理まで非常に広い範囲で使われています。
シーリング材はそれぞれ特徴が異なり、使う場所によって用途が変わってくるため特に外壁塗装とセットで使用する場合は、シーリング材ごとの特徴を知っておく必要があります。
外壁塗装でよく使用されるシーリング材
外壁塗装で、よく使用されるシーリング材は【変成シリコン】【ウレタン】【アクリル】の3種類です。
この3つのシーリング材の特徴は、「外壁塗装=塗る」なので当たり前ですがシーリング材の上に塗料が塗れることです。
それでは、1ずつシーリング材の特徴を見ていきましょう。
変成シリコンの特徴やメリット・デメリット
変成シリコンとは別に、シリコンと呼ばれているシーリング材がありますが別物です。
シリコンは上に塗装を塗ることができませんが、変成シリコンは塗装可能です。
しかし、塗料によって若干ベタついたり、はじいたりすることがあります。
耐候性に優れており、また柔軟性もありムーブメントの大きい金属類への使用にも適しています。
新築のサイデイングボードの家のほとんどが変成シリコンが使われおり、どこに何のシーリング材を使ったらいいのか迷った場合は、この変成シリコンを使用するのが無難です。
変成シリコンの主な使用場所
- 一般的な建築物の内装や外装の目地、サッシ廻りなど
- モルタルやコンクリートの目地やクラック(ひび割れ)、タイルの目地など
- 各種屋根材
- 各種金属の目地や接合部
変成シリコンのメリット
- 使用できる幅が広い
- シーリングの上に塗装できる
- 周囲への汚染が少ない(ノンブリードタイプあり)
変成シリコンのデメリット
- シリコンやウレタンに比べると価格が高い
- プライマーを事前に塗る必要がある
- 上に塗る塗料によっては塗料のはじきやベタツキが発生する場合がある
ウレタンの特徴やメリット・デメリット
硬化後はゴムのような弾力性を持つため耐久性が高く、クラックの補修や目地の補修に適しています。
しかし、紫外線に弱いためシーリングが見える状態の仕上げには使用できません。ウレタンは、あくまでも上に塗装をする前提のシーリング材です。
アルコールと反応すると効果不良が発生するため、アルコール類を発生させる材料やシリコン系のシーリング材を同時に使用することはできません。
外壁塗装のような、塗装をする前提であれば変成シリコンよりもウレタンを選択することをおすすめします。
ウレタンの主な使用場所
- 一般的な建築物の内装や外装の目地、サッシ廻りなど(充填後塗装作業が必要)
- モルタルやコンクリートの目地やクラック(ひび割れ)、タイルの目地など(充填後塗装作業が必要)
- ウレタン防水などの端末シーリングや下地処理用
ウレタンのメリット
- 塗装で表面の保護を行えば耐久性が非常に高い
- シーリングの上に塗装できる
- 変成シリコンに比べると比較的価格が安い
- 塗装で表面の保護を行えば周囲への汚染が少ない(ノンブリードタイプあり)
ウレタンのデメリット
- 紫外線に弱く露出できない
- 充填後シーリング材が痩せる(厚みがなくなる・へこむ)
アクリルの特徴やメリット・デメリット
硬化すると弾性体になるため湿った箇所にも使用することが可能です。主に、新築時のALCパネルの目地などに使用されていますが、耐久性はありません。
アクリルも上に塗装可能なシーリング材ですが外壁塗装ではほとんど使われません。
アクリルの主な使用場所
- モルタルやコンクリートの目地やクラック(ひび割れ)、タイルの目地など
- ALCパネルの目地など
アクリルのメリット
- シーリングの上に塗装できる
- 湿った箇所でも施工が可能
アクリルのデメリット
- 耐久性が乏しい
- 充填後シーリング材が痩せる(厚みがなくなる・へこむ)
- リフォームではほとんど使われることがない
しかし、内装やちょっとしたボードのひび割れには使い勝手の良いジョイントコークやボンドコークなどが使用されています。
外壁塗装であまり使用されないシーリング材
外壁塗装で、あまり使用されないシーリング材は【シリコン】【ポリサルファイド】の2種類です。
この2つのシーリング材の特徴は、先ほどのシーリング材とは逆で塗装に向いていない塗装とは相性が悪いシーリング材です。
それでは、残りの2つのシーリング材の特徴を見ていきましょう。
シリコンの特徴やメリット・デメリット
シリコンは価格が安くホームセンターでも一般的に売られています。
どこでも手に入る材料ですが、シリコンを充填してしまうとシリコンオイルと呼ばれている油みたいなものが常に出続けるため、その上に塗装することができません。
ただし、専用のプライマーを塗布すれば通常より剝がれやすいですが塗装可能になります。
価格も安く水に強いため、DIYをする方や水道や電気屋さんが使いがちですが基本塗装不可の材料なので、塗装工程の前に撤去する必要があり数量によっては撤去費用もかかるため外壁など塗装する可能性がある場所には使用しない方が後のリスクを軽減できます。
シリコンの主な使用場所
- ガラス廻り
- キッチン廻り
- 浴槽廻り
シリコンのメリット
- 耐水性や耐久性に優れている
- 価格が安く手に入りやすい
- 密着性に優れておりプライマーなしでも施工が可能
- 乾燥時間が早い
シリコンのデメリット
- 上に塗料が塗れない
- シリコンオイルが溶け出し周囲を汚染する
- 密室だとシリコン特有の臭いが残る
- 2液タイプは硬く施工性がよくない
ポリサルファイドの特徴やメリット・デメリット
表面にゴミやほこりが付きにくい特性があり、耐久性も変成シリコンには劣るが良い方ではある。
しかし、柔軟性があまり無いためムーブメントの大きい金属類への使用は適していません。
また、使用材料によって塗料を変色させたり、軟化させたりすることがあるため表面に塗装する場合は汚染防止処理を行う必要があります。
ポリサルファイドの主な使用場所
- 一般的な建築物の内装や外装の目地、サッシ廻りなど
- カーテンウォールや石目地など
ポリサルファイドのメリット
- 耐久性に優れている
- 表面にゴミやほこりが付きにくい
ポリサルファイドのデメリット
- 上に塗料を塗ると変色や軟化させる場合がある
- 建物の追従性が弱い
- 特有の臭いがある
まとめ
塗装をする前提であれば、建物の動きにも強く塗料との密着性が高いウレタンがおすすめです。
しかし、フッソや無機を使用する場合は塗膜が硬くシーリング材の上に塗ると割れてしまうため、フッソや無機を塗装する場合は耐候性に強い変成シリコンを使うようにしましょう。
アクリルは、使い勝手が良く耐久性や耐候性に影響がない場合は、「使い勝手良い=美観を整えやすい」ため必ずしもアクリルが駄目な訳ではありません。
他にも、シリコンは塗装しないカーポートやアルミなどの目地や隙間には非常に効果を発揮します。
ポリサルファイドも、一般住宅ではあまり使わないように見えて壁に石の板を貼った壁やガラス張りの建物では一般的に使われています。
シーリング材はメリット・デメリットがはっきりと分かれており、しっかりと使用目的や場所にあった材料を使用しなければ、耐久性に多く影響するため分からない点や不安な点が出てきた場合は、担当の営業に納得いくまで説明を求めましょう。