外壁塗装をする際に、何色にしようか悩まれている方は多いですが、艶をどのくらいにしようか最初から悩まれている方は少ないです。
しかし、外壁塗装の艶次第でお家のイメージは変化することもあるため、外壁塗装の艶の重要性を知っておくことは外壁塗装を成功させる上で重要になってきます。
外壁塗装に重要な艶とはどのようなもの?
外壁塗装には、通常「艶あり」「7分ツヤ」「5分ツヤ」「3分ツヤ」「つや消し」の5段階に分かれています。
艶あり=10分艶
5分艶=半艶
つや消し=0分艶
と呼んだりもします。
どの〇分艶からは艶ありで、どの〇分艶からはつや消しという明確な決まりはありません。
しかし、塗装業界ではグロス値(光沢率)を基準として、艶のあり・なしを呼び分けています。
グロス値とは、平面に60度の角度から光を当てた場合に反対側に跳ね返ってきた光を測定したものです。
このグロス値が、70%以上であれば艶あり、5%以下は艶消しになります。
下地の柄や凹凸など施工する場所によって光の具合に差が生まるので、あくまでも目安と考えてください。
艶によって与えるメリット・デメリット
皆さんの周りにも、艶があるものや艶がないものが身の周りにもあると思います。
石で例えてみると、磨かれた艶のある石もあれば自然の風合いの艶がない石もあります。
艶があるものってツルツルしていて汚れがつきにくくありませんか?
逆に艶がないものってザラザラしていて苔とか汚れが付きやすくありませんか?
このように、艶次第で性能や見た目は大きく変わってきます。
それでは、ここからは艶あり、つや消し、〇分艶の3パターンのメリット・デメリットを見ていきます。
艶あり(10分艶)のメリット・デメリット
艶ありの塗料は、小さな凹凸がないため汚れが付きにくく、きれいに反射をするため外壁塗装工事を行った満足感が大きいように感じます。
艶が出てピカピカになるので、近所の方に「きれいになったね~」と言われる確率が高いのが艶ありでの外壁塗装です。
特に、サイデイングボードの家は艶が出やすく凹凸もはっきりしているため、より美しく見えます。
しかし、艶ありは経年劣化で艶が無くなっていくため徐々に劣化していくのが分かります。
しかも、全体的に同じように艶が無くなって行くわけではなく、紫外線が当たりやすい箇所は艶がなくなり日陰は艶がある状態や、塗料の厚みが付いている箇所(艶が残りやすい)と薄い箇所(艶がなくなりやすい)でも艶の差は年月が経つにつれて分かり易く出てきます。
これは個人の好みになってしまいますが、艶ありのテカテカ感が苦手という人もいます。
色は気にっているのに、何か雰囲気が違うと違和感を感じている人は艶を抑えれるか担当の営業に相談をしてみると良いと思います。
艶消し(0分艶)のメリット・デメリット
艶消しは、マットで高級感がありオシャレなイメージで仕上がります。
自然な仕上がりに仕上がるため、自然素材を使っているような日本家屋や石調な家は特にバランスが良いと感じるでしょう。
さらに、もともと艶がないため仕上がりの艶ムラが出にくく経年劣化でもそれ程変化がありません。
見た目に多くのメリットをもたらす艶消しですが、大きなデメリットも存在します。
それは、艶消しは耐久性が低いという点です。
艶消しは、調整剤を添加しているため余分な物質が含まれることになります。
他にも、表面に凹凸を出し光の反射を少なくするため、汚れが付着し易くなります。
もう一つ、艶消しの多くは艶ありの塗料をベースに調整剤を混ぜていくため、塗料によって艶ありは存在しても艶消しは存在しない場合も少なくありません。
もともと、ベースが艶消しで作られた耐久性が高い艶消しの塗料も存在するため、艶消しで耐久性を求める場合は確認が必要になります。
〇分艶のメリット・デメリット
艶ありとつや消しの間の〇分艶の塗料は、もともとの新品の建材に使われることが多いため見た目も周囲の環境になじみやすく、テカテカもせずマットでもなくちょうどいい調和のとれた艶です。
しかし、調整剤で艶を調整しておりとても不安定な状態のため仕上がった際に艶ムラになりやすく、特にリシン壁のような塗料を吸い込んでしまうよな外壁ではムラが出やすい傾向にあります。
艶ムラになる原因は大きく分けて2つ存在します。
1つ目は、外壁塗装を行う際に足場の段ごとに仕上げていきますが、その際に次の段に行くまでに乾燥してしまい塗り継ぎが出てしまうことがあります。
乾燥した箇所に重ね塗りをしてしまうと、その部分だけ他の箇所よりも厚みが増してしまい艶が他の箇所と変わってしまい艶ムラになります。
2つ目は、下塗りや中塗りの吸い込みムラによる上塗りの艶ムラです。
先ほどの、リシン壁が特に出やすいと言うのは塗料が壁に一定量吸い込まれてしまうためなのですが、一定量の塗料を塗布しても吸い込み量が場所ごとに違うため、きれいに仕上げるためには艶ありよりも材料と手間を多く使う形となります。
材料によって違いはありますが、〇分ツヤや艶消しの中塗りは艶ムラを防ぐために艶ありを塗ってから、上塗りで指定した艶に仕上げる方法もあります。
最近は少なくなりましたが、メーカーの仕様を見れ記載してあるにも関わらず、いまだに中塗りを上塗りと同じ艶の材料で塗ってしまってから、艶ムラが全然消えないと相談を受けることがあります。
Gsm Japanの職人は、〇分ツヤでも慣れているため上塗りの時のみ人数を増やして塗り継ぎによる艶ムラが出ないようにしたり、吸い込みが激しく艶ムラが標準の仕様だと消えない場合は、吸い込み止め用の塗料を再塗装し直して再度決めて頂いた艶で仕上げたりしています。
職人の今までの豊富な経験ももちろん大切ですが、Gsm Japanでは営業スタッフが塗料を製造販売しているメーカーの技術スタッフに相談を行い専門的な意見も取り入れながら技術の向上に努めています。
外壁塗装の艶を決めてからの注意点
外壁塗装は、当たり前ですが家の耐久性を保ちながら美観を向上させることがポイントになってきます。
そのため、決めてもらう内容として
- 使用する塗料(シリコンやフッソ、ラジカル制御型や遮熱など)
- 色(白やベージュ、黄色や緑など、実際は、15-90Bなどの色番号と呼ばれるもの)
- 艶(艶ありやつや消し、〇分艶など)
他にも色替えの場所などもありますが今回は割愛します。
基本的にこの3点を決めていきますが、順番として見積もり時から契約までに使用する塗料を決め、その後色を決めてから艶を決めます。
しかし、本来であれば艶の設定が少ない塗料もあるため、艶⇒色⇒塗料の順番が理想です。
ですが、流れとして致し方ない部分もあるため艶を選択したいと考えている方は契約する前に「艶はどのくらい選べれますか?」と聞いてみると後の打ち合わせがスムーズに運びます。
Gsm Japanでは、ご契約後に選択頂いた塗料にご希望の艶がなかった場合はご希望の艶設定がある同グレードの塗料を差し替えさせて頂いております。
塗料によって艶ありの表記でも艶が違う?
最初に記載した、艶ありや5分艶などの表記は一緒でもメーカーごとで仕上がりの艶は変わってきます。
例えば、日本ペイントのパーフェクトトップとSK化研のプレミアムシリコンは同じシリコン塗料で、グレードも同じくらいになります。
この2つの塗料を塗り比べてみると、プレミアムシリコンの方が艶があり、パーフェクトトップは若干落ち着いた艶に仕上がります。
そのため、ピカピカにしたい場合はプレミアムシリコン、艶ありが良いが高級感を持たしたい場合はパーフェクトトップで仕上げると良いかもしれません。
光沢率の計測を行った訳ではなく、あくまでも私の視感なので気になる方は見本板を発注して見比べてみてくださいね!
材料によっては艶消しを選べない?
先ほども、材料によって艶消しがない場合があるとお伝えしましたが、具体的に説明していきたいと思います。
基本的に、シリコンやフッ素では3分ツヤまでしか艶を落とすことができません。
日本ペイントのオーデフレッシュやSK化研のセラミシリコン、最近ではパーフェクトトップなどつや消しの設定も増えてきましたが、いざ塗ってみると若干艶が残っている感じがします。
しかも、オーデフレッシュもセラミシリコンも水性塗料のため、雨戸や手摺などの金属部や雨水が当たりやすい箇所は原則使用できません。
溶剤塗料になると、シリコンやフッ素は艶消しがないため外壁は艶消しでも雨戸や雨樋などは3分艶になってしまう可能性があります。
番外編
外壁塗装では、底艶(ソコツヤ)と言う言葉があります。
底艶とは、本来つや消しなのに艶が若干出ていたり、3分艶なのに5分艶になってしまったりしてしまいます。
他にも、かぶり(白化、ブラッシング)と言う現象もあります。これは、雨水が当たってしまったり湿度が高い時に起きることが多く、〇分艶を使うと特に起きやすい現象になります。
艶は、湿度や乾くスピードだけでなく、ローラーや吹き付けなどの施工方法によっても変わってきます。
さらに厄介なのが、手直しが原則的にできません!!
3分艶の上に3分艶の塗料を重ねると、あくまでも単純なイメージですが3.2分艶、3.4分艶と艶が少しずつ増していってしまうためです。
〇分艶は皆さん迷った際に選びやすいです。『艶ありもつや消しもどっちもメリットあって良くて選べないから中間の〇分艶にしよう!!』⇐絶対にダメです!!!!
これは、1番やってはいけない選び方です。
〇分艶は、きれいに仕上げれる保証はありません。
〇分艶をどのような家の状況でも100%きれいに仕上げれると言い切れる職人はいないと思います。(金額をいくらでも掛けれる場合は下処理をいくらでもできるので話は変わってきます)
こだわりを持って、〇分艶が良い場合はもちろん選んで欲しいですが、〇分艶はリスクがあるため本当にそのリスクを冒してまで〇分艶が良いか考えて慎重に決めてください。
それでも、「〇分艶が良い!」と言ってもらえたら全力でリスクを回避して施工させてもらいます。
~まとめ~
艶は、見る人によって色と同じで異なって見えたり感じたりします。
そのため、この艶なら間違いないということはなく、自分の好みで選んで頂くのが1番だと思います。
もちろん、専門的な部分や心配な部分、実際の艶を確認するための見本板の発注などお気軽にご相談ください。
Gsm Japanのスタッフはお節介のスタッフが多いため細かい内容まで話始めるかもしれないので、ご相談頂く際は時間がある時の方が良いかもしれません。(お節介ですみません(/_;))
〇分艶の施工は、外壁塗装の中でも難しい施工のためGsm Japa以外で施工する場合でも信用の置けるスタッフや職人が在中している施工業者にお願いするようにしてください。
最後に皆さんに一番伝えたいことは、〇分ツヤを本当に艶ムラもなく仕上げるのはかなり難しいため、艶に対してこだわりがあまり無い場合は「艶あり」か「艶消し(付帯部は3分艶)」のどちらかを選択することをおすすめします。